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原材料と生地の特長について

 

特筆すべきはスキャバルが通常公的機関の設定する基準より高い基準=より細いミクロンの繊維を使用していることです。

 

例えば、スキャバルのSuper 100’sは普通18.00μ、時には17.50μのものまであります。他社ではこれらをSuper110’s やSuper 120’s woolと呼んでします。

 

しかし、良質のウールはその繊維の細さが何ミクロンかというだけで判断されるわけではありません。その繊維の長さ、スタイル、不純物が混じっていないかどうかなどもその判断材料になります。この点においてスキャバルが新しいウールを開発し、その繊維をどうクラス分けするかはより重要になってきていると言えるでしょう。

 

この作業には生地が実際に市場に出るまでの間、1年半から2年の期間を要します。対象となるウールを発見したらヤーンづくりにとりかからなくてはいけません。ウールの繊維のミクロンに対しいつもできる限りの細いヤーンに紡いでいるわけではなく、より伝統的でウェイトのある生地、例えば”Miracle”などは敢えて糸番手を太くしたりもします。

 

我々はまたヤーンを紡ぐ際、さまざまな回転数をためしてたくさんの試作品を作ります。回転数が多すぎると(=ハイツイスト)生地は硬くなり、逆に少なすぎるとやわらかくしまりのない生地に仕上がり、ドレープが美しく出ません。そして打ち込み本数の設定ですが、これは生地の仕上がりを左右する大変重要で決定的な要素です。理論上の計算と実際に何着もの生地をトライアルで織り仕上げる過程を通して最終判断を下します。そうしてやっと新しい生地が生まれるのです!

 

 

 

ウールの等級付けの歴史

 

ウールの取れない国はほとんどありませんが、最良のそして最大量のウールは温帯地域で取れます。ウール生産国として最も重要なのがオーストラリアで、ヨーロッパのテキスタイル産業の主要供給国となっています。

 

元来、ウールの等級付けはプロのウール選別業者から始まりました。彼らはウールがどんな手触りか、見たところどんな感じかを基準にウールを査定することにより、ウールを違うロットに刈り込み選別します。

 

柔らかく豊かなつやのあるウールは粗い手触りで冴えない感じのウールと分けられます。ファインウールは不純物や汚染から守られた羊から取れた、質の高いウールと格付けされ、収穫量は相対的に少なくなっています。

しかし、選別した羊の種をある程度の期間進んで飼育していくことにより、高品質ウールの割合は徐々に増えつつあります。

 

ヨーロッパのテキスタイル産業の拡大に伴いウールの需要が増加し、より正確なウール繊維の格付けが必須になりました。当時、オーストラリア・ウールはロンドン市場を通して取引されていました。ですからウール繊維をさまざまなカテゴリーにクラス分けするこの試みはThe British Wool Control(B.W.C=ブリティッシュ・ウール・コントロール)によりなされました。

 

主要なグレードは4つ。それぞれが繊維の長さにより3つのグレードに分けられ、見た目の繊維の細さで細かく分けられます。60’sから90’sのレンジに分けられ、90’sは一般のカスタムテーラー生地を扱う高級アパレルでの最高級グレードで、一番下の60’sは工場での大量生産用で使用される生地でした。

 

ウール等級付けのもうひとつの方法は血統です。正真正銘のメリノウールを使用し品質と細さにより7つのグレードに分けられます。血統のグレードは繊維がどれだけ細い糸番手に紡ぐことが可能かに基づき決定されます。

 

その当時、最高級ウールにイギリスの織り業者がつけたスーパー100’sという用語は2つの査定システムを組み合わせたものだと思われます。

 

ウールをグレード分けするさまざまな試みにもかかわらず、飼育業者とバイヤー達は昔からの目で見て手で触れてという方法に頼ってきました。そして長い間イギリスのミルの間で非公式な”Super . . .”というクラス分けがなされていました。

紡績と織りの技術は進歩しより細いヤーンと軽量な生地への需要が高まるにつれて、適切なクラス分けの指針を確立することが、商業的見地からより重要視されるようになりました。

 

そこでウールをより精密な方法でグレード分けする新しい専門的な範囲が確立されました。ミクロン(1ミクロン=1000分の1ミリ)が繊維を等級分けする最重要要素となったのです。

 

1970年にオーストラリアン・ウール・コーポレーション(現在は存在しない)が今までのクラス分けとミクロン番手の関係を相対付けようと新しい表を発表しました。

残念ながら、ミクロンはウールの品質を等級分けする要素のひとつに過ぎません。繊維の伸張強度、長さ、色、不純物等も大切な要素で、さまざまな違った要素を考慮しなければならず、これらがこの表を正しく使うことを困難にしていました。

 

新しい紡績技術の開発が実際のウールの品質からすればより細いヤーンを紡ぐことを可能にもしました。偽った織り耳や間違った品質説明のついた生地がマーケットに出始めました。

同時に羊の飼育業者もより細く良質のウールを生産するためさらに進んだ血統を選別して経営するようになりました。

 

スーパー110’s、120’s、130’s、140’s、150’sといった新しい用語がどのテキスタイル協会にも合法的に認められないまま製造業者の間で用いられるようになりました。

 

等級付けシステムをいくらか統合するために、1992年に英国団体のNational Wool Textile Export Corporation (NWTEC)が繊維の直径が何ミクロンかという規定に基づいてウールをスーパー70’sからスーパー150’sにクラス分けする品質表明を確立しました。この等級分けは繊維の直径の最大平均値のみを基準にしており、その他のウール特質は考慮していません。

 

例えば、何故スキャバルがスーパー180’sに等級付けたのかは、1974年まで遡らなければなりません。

当時我々は16.5μクラスのウールで新しい生地を開発しました。その頃市場に出ていた18μクラスのスーパー100’sよりも当然細いということになります。

前にあったものと区別するため私たちはそのウールをスーパー120’sと呼ぶことにしたのです。マーケットに出た当初は懐疑的な見方をされましたが、結果的には受け入れられ大成功を収めました。そして他の製造業者はそれに追従したのです。

 

同じ原理でスキャバルは1991年に他社に先駆けて15μクラスの細さのウールを開発し、スーパー150’sの”Golden Carat”を発表しました。

その後我々は13.8μのウールを初めて実用化しました。新しいクラス分けも今までと同じ原理の繰り返しです。我々の以前の記録に従って、私たちは誇りを持ってその新しいクオリティ、”Miracle”と”Obsession”をスーパー180’sと名づけることにしました。

 

最新技術は日々革新を起こし、13μクラス以下の細さのウールを作ることが可能になりました。我々の開発したスーパー250’sの”Summit”です。

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​​​​​​​『NOBLE FLEECE』(ノーブル・フリース)の歴史は、『NOBLE FLEECE』そのものとよく似ています。他に類を見ないその美しさはたとえ離れたところからでも手に取るように分かりますが、近くによって詳しく見てみないと本当の良さは理解できないのです。手に取れば、一本一本の糸が丁寧に織られていることがわかります。

 

一本ではただの糸に過ぎませんが、その糸が集まれば、記憶に残るものを作り出します。それと同じように、500年の歴史は布地と絡み合い、ストーリーのひとつひとつが組み合わさり、調和することでスキャバルの終わることのない、完璧さへの追求の物語を伝えています。伝統とモダンが絶妙に混ざり合った成果を、その手触りに感じ取ることができるでしょう。

​​​​​​​​​                                                    ​​​THREAD OF TIME(糸が紡ぐ歴史)

 

物語はスペイン北部の、のどかな平野から始まります。現代のメリノ種に繋がる祖先がいたのはこの地であり、中世ヨーロッパでは王の財産でした。その系統はローマ、フェニキアにまで遡り、強大な皇帝の身を飾っていました。メリノ種はこの祖先がイギリスの丈夫な種と掛け合わされることで生まれたのです。

 

こうして品種改良されたメリノ種のウールはイギリスに逆輸入され、世界から羨望の的となる布地へ織られました。これに携わっていたのが1539年に建てられた、スキャバルの工場をはじめとする、ミルと呼ばれる織工場です。スキャバルのミルは今日まで継続して生地の製造を行っています。スペイン王の財布を支えていたのは事実、このウールと言って過言でなく、そのため1723年に許可されるまで、メリノ種の羊を一頭でも国外に出そうとする者は死刑となっていました。

 

100年が経ち、ヨーロッパのほぼ全域にてこのフワフワのウールを持つメリノ種が見られるようになりました。そして戦争や革命などにより君主制という絶対的な権力がその勢力を弱め、メリノ種は民間にも広まっていきました。そして大西洋を越え、数多くの建国の立役者たちがメリノ種を所有したことから、そのウールはアメリカ合衆国の成立に不可欠な役割を果たすのです。

 

メリノ種を心のふるさとへ運ぶ旅、それはもう一つの大海を越える壮大かつ苦難の旅でした。1788年、ようやくオーストラリアへメリノ種が上陸し、当時未知の土地でしかなかった第五の大陸に広がる花崗岩の台地に、メリノ種が繁栄を極めるまでわずか20年しかかかりませんでした。

 

今日私たちがよく知る、愛すべきメリノ種を作ったのはその思いがけない食欲でしたが、メリノ種の人気を受けて、ヨーロッパ、そしてアメリカのトップブリーダーたちは、より大きな子羊を作ろうと試みました。

 

オーストラリア国内で、羊肉は牛肉ほど好まれないため、メリノ種はウールを取るために飼育され、世代を追うごとにウールの質は向上していきました。その方向性は的を射たもので、オーストラリアには現在約7400万頭もの羊が飼われ、その数は人口を遙かに上回り、世界のウール供給の4分の1を輸出するに至っています。

 

史上最高品質のウールはオーストラリア産メリノ種から作られており、その90%は今でも家族経営の農場で生産されています。スキャバルの会長であるグレゴー・ティッセンがそんな家族経営を見学に訪れたその時が、『NOBLE FLEECE』物語における新しい章の始まりでした。

A MOST NOBLE CLUB(もっとも高貴なクラブ)

 

 

家族よりも大事なものはない、かつて賢者はこう言いました。スキャバルでは、この言葉を信念としています。だからこそ、マーチャントの3代目であるグレゴー・ティッセンは、父のJ・P・ティッセンと同じく社に人生を捧げているのです。また、オーストラリアでメリノ種の牧場を家族経営で続けていくのが徐々に厳しくなっているなかで、必要なのは変化だとも感じたのでした。

 

ティッセン氏が、スキャバル・ノーブル・ウールクラブという、環境面において持続可能かつ経済面でも公正な農場経営に乗り出したのはこのような理由のためです。

 

「ここスキャバルでは、常にウールの持つ可能性の境界線を押し上げていこうと試みています。

 

 

 また、当社では原材料を直接生産者から仕入れていますが、その中でもウルトラファイン・ウールを生産するオーストラリアの農場を2013年に訪問したときに、私は初めて認識したのです、ウール産業の原材料供給者には保護と維持の両方が必要だということに。

 

それこそスキャバル・ノーブル・ウールクラブとともに、ウルトラファイン・ウールの生産者が持つ熟練の技に注目する業界の技術革新を目標とした、伝統への立脚なのです。互いに手を取りあえば、将来必ずやこの地球上で最高に素晴らしい原材料としてのウールを生産できることは確実です。

 

また、当社では現在業界の主流である繊維直径の限界をさらに超えたいと考えています。現在、一本一本の糸がどれだけ細いのかを示す単位として、μmやmicron(ミクロン)が使用されています。糸は細ければ細いほど布地は柔らかく、そしてより気品が出るとされています。これらは数字の前に「スーパー」と表示がある生地で、このシステムはすでに限界があるというのが、私どもの意見です。

 

まず、1974年にスーパー120’sの壁を破ったのが当社でした。以降スーパー150’sを、そしてスーパー180’s、200’sの壁も越えたことは言うに及びません。多くの革新者と同じく、常に他に先んじるのがスキャバルであり、専門家として現在のシステムを変える資格があると感じています。

 

さらに消費者の皆様も、興味のある製品についてより深い知識を持たれるようになられました。そんな皆様に、この時代が理想とする完成形を表示することのできる、より良いシステムをご提供したいと考えています。誠実かつ持続可能な枠組みのもとで生産される品を求める声を、当社を末永く愛してくださる最終消費者の皆様から続々と頂いているのです。

 

地球上における最高のウールを製造するというのは、単に繊維の直径を計るだけではない、複雑なプロセスを必要とします。土壌、空気など羊を生育する環境のすべてが、最終的な製品に影響を与えます。動物が消費する食料や水を確保し、これからの世代が地球の資源を享受していくためには、この自然の基盤を慎重に保護しなければならないのです。そのために、スキャバル・ノーブル・ウールクラブがあるのです」